介護士はなにより笑顔が大切

自立生活が困難になり、高齢者は老人ホームに入られるわけですが、住み慣れた所を離れての生活は当然ながら不安です。
安心して生活を送ってもらう為には、笑顔になってもらう必要があります。笑顔があれば不安が吹き飛ぶだけでなく、楽しく日常生活を送る事ができます。

そうした背景から、介護士は単に生活のサポートという役割だけでなく、相手の笑顔を作るのも仕事だといえるのです。
その為には無理に相手を笑わせようとせず、まず自分から笑顔を作る必要があります。
そうする事で必然的に、まわりのスタッフや高齢者の方も明るくなり、いい職場環境を作る事にもつながるでしょう。結果的にお互いが話しやすくなって、サービスを受ける側もする側も本音に近い相談ができたりします。

ここで、ある利用者さんの事例を紹介します。

利用者さんの一人が、いつも食事をあまり食べてくれず、スタッフの方は小食の人だと思っていたそう。そんな中、毎日笑顔で一生懸命仕事をしていると、徐々に話しかけてくれるようになり、スタッフと利用者さんは仲良くなっていきました。
そしてある日、食事の時「椅子はもう少し高くできないの?」と言われたそうです。そこで椅子を高くしたところ、それ以降から食事を全部食べてくれるようになったのだとか。食事を食べないのは単なる小食ではなく、椅子が低かったことが原因だったのです。

人はそれぞれ癖や今までの習慣など、自分から見て良かったとしても相手は違うものです。言いたくてもなかなか言えない、そして言いにくいこともあります。笑顔で接し続けた事で、心をひらいてくれたのでしょう。
その時のスタッフはこの件を通じて、笑顔でコミュニケーションを取ることの重要性を実感したそうですよ。介護の仕事は、まずコミュニケーションありき、といっても過言ではないですね。