介護現場の理想と現実

介護現場で働きたいと考える人には、「人生の先輩である高齢者と接したい・役に立ちたい」という気概の高い人も少なくありません。しかし、実際に老人ホームで仕事を始めてみると、3Kとも言われる労働の厳しさの現実に苛まれることになりがちです。

穏やかな雰囲気で高齢者とのコミュニケーションを楽しみながら仕事をし、いつも感謝されている状況を想像していた人にとっては現実とのギャップが大きいもの。
しかし、勤務経験が豊富になって仕事が板についてくると、心に余裕が生まれてきて様子が一転する傾向があります。

もし介護現場で働く目的が生活費やお小遣いを手に入れるためという場合には、その厳しい状況もお金と引き換えという認識で捉えられるので、比較的割り切りやすいでしょう。しかし、やはり高齢者の仕事に理想を抱き続けてきた人の場合には、余裕が生まれたことで理想に現実を近づけていく努力ができるようになります。

そのためには、時間を少し余分に費やしてコミュニケーションを図ったり、入所している高齢者だけでなくその家族とも話を十分にする時間を設けたりすることが欠かせません。
一人一人の話をじっくり聞いて向き合うことで、高齢者が良い生活を送れるような働きかけをすることが可能になります。

老人ホームで仕事をしていると慣れるまでは心身に余裕がなくて理想と現実のギャップの大きさに圧倒されがち、という点に言及しましたが、その状況のほとんどは時間が解決してくれます。厳しい労働環境に負けずに働いた先には、業務を進めながら高齢者とのコミュニケーションを楽しめるような日常が待っています。